tanakatosihide’s blog

一般社団法人officeドーナツトーク代表、田中俊英のブログです。8年間Yahoo!ニュース個人で連載したものから「サルベージ」した記事も含まれます😀

弱いものが弱いものを互いに助け合う〜「劣化する支援」を超えて

■突然訪れるそれ


「誰かと誰かが出会いコミュニケーションすることで、何か化学反応が起こる」的な瞬間は、不意に訪れる。
 
これは単なる「支援者がクライエントを支援する」「ピアサポートする」といった紋切り的コミュニケーションではない、何か違う次元の話だ。
 
その瞬間は、受け入れる側の雰囲気、受け入れてもらう側の態度と気分が重ね合い、いつの間にか深く語り合うことになる。

■弱さを受け入れないことが「劣化」

人間は当たり前だが弱い。

ブルーハーツの歌を聞くまでもなく(「人にやさしく」)、もろく弱くけれども実はどこか強く、もろくてそれでも少し強い、全体としては「弱い」としか言えない存在が人間である。

この弱さを受け入れてない人々は「劣化」している。

我々にとって有効な「支援」とは何か、いまある以上の「コミュニケーション」とは何だろう。

その、「次の時代のコミュニケーション」のキーワードこそが「弱さ」なのではないかと、僕はよく思う。

弱さが弱さのそばにいる、弱さ同士で話をする、弱さ同士で楽器を奏で歌をうたう。

その「弱さ」たちは、患者やクライエントといった、支援・被支援関係に見られる権力関係ではない。

人そのものがもつ性質の根幹である「弱さ」を引き受けた人々のコミュニケーションだ。

■「劣化する支援」を超えて

つまり、「劣化する支援」の次の次元とは、
 
「弱さ」の受け入れ
 
なのかもしれない。

それは、専門家がクライエントを権力関係のなかで「支援」するのでもなく、人工的に形成されたグループの中で「当事者語り」をするのでもなく、すべての弱い者たちが集まりその弱さについてユーモアも絡めながら同じ時をすごす、そんなコミュニケーションの時間。

「劣化する支援」を突き詰めたところには、「弱さによる支え合い」という新しいコミュニケーションが現れた。僕の人生の中でも、最大の収穫のひとつ。