tanakatosihide’s blog

一般社団法人officeドーナツトーク代表、田中俊英のブログです。8年間Yahoo!ニュース個人で連載したものから「サルベージ」した記事も含まれます😀

高校生たちへの声かけ、「7 つのルール」

タイトル: 高校生たちへの声かけ、「7 つのルール」

公開日時: 2017-08-18 14:07:28


概要文: この、首尾一貫した態度こそが、ハイティーンの信頼を得る。中途半端はダメで、このアティチュー ドを貫けるか、それが支援者としての魅力につながる。


本文:

 

 

■7 つのルール


僕は大阪市平野区で「ひらの青春生活応援事業」という委託事業を運営しており (https://officedonutstalk.jimdo.com/ひらの青春生活応援事業/ ひらの青春生活応援事業)、これは巨大自 治体の大阪市でも珍しい、区の単独の高校生支援事業なのだが、そこで、高校生たちにかかわる大人たちに対し て(たとえば就労支援等)「声掛け」のルールみたいなものをつくってほしいと依頼されたので、以下のものを即興でつくってみた。


「高校生たちへの声かけ 7 つのルール」 
1. 否定しない
2. 生徒の利益の最優先(親側に立たない)
3. 雑談(芸能界・スポーツ等)中心の会話
4. 相談された時は、部屋の隅で小さな声で
5. 秘密を守る
6. それなりに「自己決定」を尊重する(いっしょに決めてもいい)
7. 楽しく解散する



即興のわりにこれはよくできていると思ったので、この記事を読んでいただいてる方たちの何らかの参考になれ ば、と思って紹介してみる。


元ネタはソーシャルワークの理念ではあるが、英語直訳調の 2 以外は、僕なりにアレンジしている。

何も平野区だけのルールではなく、これはたとえば「高校内居場所カフェ」 (https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakatoshihide/20170729-00073878/ 「モーニング」を出す高校内 居場所カフェ~西成高校モーニングとなりカフェの試み)での高校生対応にも当然使えるし、よくわからないが 魅力的なハイティーン対応全般に使えると思う。


■中途半端はダメ


解説すると、1 は、今どきの若者と接する時の必須対応だ。

 

「否定」は、団塊世代や哲学好きからすれば必須のコ ミュニケーションだったりするが(ヘーゲル主義等から)、現代のニホンに住む若者たちからすると、「否定」は おそろしく否定的な概念だ。


おそろしく否定的な概念のため、それはリスクマネジメント的に回避するほうが望ましい。がんがん否定してそ の後に新しい発見があるという団塊の世代マルクス主義的「弁証法」はものすごく過去のものである。 この流れで、現代の若者は「議論」を回避する。


2 の「生徒の利益の最優先」はソーシャルワークの理念そのもので、どういった事態になろうが、目の前のクラ イエント(生徒)の立場に立ち続けるという、言うのは簡単だが行動は非常に難しいルールだ。

 

親の希望と、生徒の希望は違うことのほうが多い。その場合、保護者が言うことは「正論」であり、常識だ。残 念ながらハイティーンが言うことは非常識だったり非現実的だったりする(高校中退希望や海外留学等)。


それでも、現実的な落とし所を見据えつつ、高校生の側に立つ。学校や保護者が反対しようが、生徒側に立ち続 ける。

これがなかなか難しい。高校中退や海外留学の非現実さを、普通の大人は排除する。が、そこを選んでしまうハ イティーンたちの立場を想像し、その立場に立ち続け、そして大人たちも納得するような落とし所を話し合いの 末に見つける。


この、首尾一貫した態度こそが、ハイティーンの信頼を得る。中途半端はダメで、このアティチュードを貫ける か、それが支援者としての魅力につながる。


■その「偽善性」を直感的に見破っている


3~6 は文字通りで、これらは 2 に比べると簡単だ。

当事者と出会った時、普通の大人は雑談を避けるが、雑談のテクニックこそが最上のコミュニケーションにつな がっていく。

雑談は何も高校生支援だけではなく、どんなコミュニケーションにも応用でき、その達人はどんな 世界でもモテモテなはずだ。


雑談はコミュニケーションのオイルなのだ。


高校生たちは案外密室での相談(カウンセリング)を嫌がる。

密室での大人との会話を「説教」と思わされてい る悲しさがここにはあり、また、ハイティーンの大人への不信感を如実に表している。

その不信は基本的に正しく、ほとんどの大人は子どもを説教し、子どもを大人側のタテマエワールドに導こうと する。


が、子どもは、特にハイティーンは、その「偽善性」を直感的に見破っており、説教する大人自身がそのタテマ エとは裏腹に欲望そのものの人生を送っており、そこを素直に白状しない「汚さ」にハイティーンは怒っている。


僕がハイティーンの時も怒っていたが、いまや 53 才になりその怒りもだいぶ薄れてしまった。 が、現役ハイティーンと会話していると、そのストレートさはカッコいいと思う。


自己決定についてはたとえばこの過去記事(https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakatoshihide/20130521- 00025100/ 「ゴーストの囁き」あるいは「脱構築」という自己決定)あたりを参照してほしい。デリダも『法 の力』で断言するように、純粋な「自己決定」はない。


■7 番目がいちばん大事かも

 

最後の「楽しく解散」が最も重要かもしれない。


常に揺れ動くハイティーンにとって、一度重い気持ちになると、それをしばらく引きずってしまう。引きずり自 体は悪くはないものの、揺れ動く心が、身体の動きまで支配していき、流れによっては悲惨な行為につながるこ とがある。


それを避けるためにも、また単純に楽しく解散したほうが「気持ちいい」という点からも、最後は陽気にグッバ イすることを心がけよう。


この 7 番目がいちばん大事かもしれません。(^^)★