tanakatosihide’s blog

一般社団法人officeドーナツトーク代表、田中俊英のブログです。8年間Yahoo!ニュース個人で連載したものから「サルベージ」した記事も含まれます😀

ビートルズは「ファーストプレイス」だった

作曲はジョンだが、まさに4人での共同制作。おそらく初期からこの形態は変わらずで、ただ初期はプロデューサーのマーチンとよりディープに短期間で作り上げていたんだと思う。 'ACROSS THE UNIVERSE'Twickenham Studios#TheBeatlesGetBack #LetItBe #TheBeat…

信頼と愛着障害〜「レボリューション」と『ジョンの魂』

これはレボリューションとヘイジュードの撮影の日。 ジョンのバンドにポールが加わったのが1957年だから、それから11年が経過している。 2人はハイティーンで出会ったため、68年時点で、年上のジョンでさえ28才。 ビートルズの最大の特徴は、遅れて入ったリ…

コミュニケーションを渇望する愛着障害への最大の支援、ヘイジュード

チェコ語はわからないけれども、オリジナルのポールの歌詞を変えているのかな。 クンデラ『存在の耐えられない軽さ』でチェコの1968年プラハ動乱のことは知っていたけれども(クンデラ小説に加えて映画でも)、この「ヘイジュード」カバーは知らなかった。 …

欲望désirと欲求besoin

コロナの時期に書いた三つの小説集のうち2本目がこれですが、この「こころの湖」というイマージュが僕のオブジェaだと思います。 note.com オブジェ(対象)aとは、乳幼児期に潜在化したそれぞれのdésir/欲望がイマージュ化したもので、多くは「(広義の)…

水の揺らぎ〜溝口とタルコフスキーにとってのゴースト/オブジェa

【山椒大夫 (1954年、溝口) 「溝口健二は、論理的な整合性の限界を超えて、人生の微妙なつながりや隠された現象の深い複雑さと真実を伝えることができる。」 —アンドレイ・タルコフスキー】 同じように「水と水面(湖面)」を愛した者同士(溝口とタルコフス…

「紋切り型弱者」の誕生〜利益享受者とマイノリティ一般

「立ちんぼ」という現象をより根源的に考えると、それはスピヴァクのいう「主体効果subject-effects」と「エリートサバルタン」につながり、同時にサバルタンという「語れない当事者」という問題が背景に浮かび上がると思います。 主体効果は、 ①語ることがで…

狂気のロウポジション〜小津安二郎映画の真髄

◾️異次元への没入 PR用ショートフィルムにまとめると、ロウポジションは伝わるがロングテイクが招く「異次元への突入感」がなくなる。小津やタルコフスキーにPR動画は不要で、逆に紋切り商業主義カットが意外に多い黒澤などは、PR動画がよく似合う。普通のハ…

サバルタンは「逃げる」のか〜NPOの品格と「善意」

少し先ですが、「NPOの品格③」の企画が固まったのでシェアしますね♪ 3回目はいよいよ僕らしく「臨床哲学」的視点から展開します。 このテーマは実は、「サバルタンは語ることができるか」というG.C.スピヴァクの問いを、僕なりに展開するものです。 サバルタ…

「ポストモダン論、教育編」〜校内居場所カフェ/サードプレイス

短いですが、以下はいわば、「ポストモダン論教育編」ですね。やっと、ポストモダン哲学が現実に役立つ時代が訪れました♪ * 高校内居場所カフェが大阪と東京で公的システムへ移行する現在、次は、小中での公的「サードプレイス」システムへの取り組みの番ですね…

ララァの笑顔、アルテイシアがトップになる世界〜機動戦士Gundam GQuuuuuuX

話題のガンダムジークアクスも6/24放映予定 の第12話で最終回。11話ラストで、ホントにファーストガンダムが出てきた段階で、Xでは賛否両論含め大盛り上がり、まさにカラーというか鶴巻というか庵野の思う壺だ。 そんな「公式二次創作」がこの作品の醍醐味だろ…

当事者は逃げる〜NPOの“善意”とは何か

これまで2回開催した「NPOの品格」シリーズは、③をこの秋に開催予定です。③のテーマは、いろいろ悩みましたが、 「当事者は逃げる〜NPOの“善意”とは何か」 で行なう可能性大です。 この「逃げる当事者」とは、僕がこれまで使ってきた「サバルタン」も含みま…

恋愛はリスクと否定になった

この調査はスゴイな。特に20代男性の恋愛への欲望が20%を切っている。 https://x.com/sumomodane/status/1936440320776110574 恋愛への欲望とは、ロマティシズムと性欲等すべて含む「愛のイマージュ」すべてで、これがおそらく、コンプライアンスとポリティカル…

groove=コミュニケーション

tanakatosihide.hatenablog.com tanakatosihide.hatenablog.com tanakatosihide.hatenablog.com

グルーヴが「コミュニケーション」の原点

音の均等割の配置と音そのものの強さから「グルーヴ」がつくられることを発見し、YMOは機械をそこに近づけていった。 けれども今になって僕が思うのは、機械がより発展して今のように人工的グルーヴはつくり出せたものの、均等割を超越したナマの人間の「秒以…

日本で「階級政党」ではなく「国民政党」を目指すと、「あんな感じ」になる

連合は広い意味では労働者階級から形成され、そこが支持してきたこれまでの国民民主党は「階級政党」だった。 だが国民民主党はこれまでの階級政党を脱し、「国民政党」に移行する課程におそらく入っている。 階級政党は、「近代」的な選択的夫婦別姓などを支…

事実と幻想〜フロイトとハーマンのトラウマ論

※以下は、『心的外傷と反復』(田中俊英)1章をリライトしたものです。 ■起源と幻想 心的外傷(トラウマ)論が複雑に思えてしまうのは、なにはともあれフロイトの外傷論が紆余曲折してきたからなのかもしれな い。 おおまかにいって、フロイトの外傷論は「事…

YMOが隠したこと

ニューオーダーにしろYMOにしろ、最も先進的な時期は最初期の手動でのリズム隊だった。それらは機械の正確さを人間が追いかけそれでもズレるグルーヴが支えていた。 その後に、レニとマニによる最強リズム隊が支えるストーンローゼズが現れ、結局「ダンスと…

日本のダンスは手による「祈り」

日本人の「ダンス」がどれだけキレキレでも、僕はずっと何か変だと思っていて、それがこのサカナクションのビデオを見てなんとなくわかった。たぶん、日本の踊りには舞踊あるいは盆踊りがベースにあり、それは「手」が基本にある。 また、リズムの基本が日本…

情報の世界を超えて

ここで触れる「立つと見える普通の世界」を構成するのが、通常の情報類で構築された世界ですね。世界に溢れる情報群に疑問なく接していくと、「普通の(規範ほかの常識で構成された)世界」に入ることができる。 立つと見える普通の世界は、僕らの世界を束縛…

管理を超えた「生命そのもの」を志向する、合目的性としての情報

「人権」ほかの近代原理が確立され200年が過ぎ、また第二次世界大戦以降それらが資本主義諸国の基本価値に収まって80年、その近代原理には天動説的リジッドさが含まれました。 システム化されたそれらには当然、システム内の人々を支えるためのお金と地位が…

情報は想いをどう決定するのか

たとえば、『チ。』というアニメ/マンガ作品では、人物たちが生活する舞台はP国として表象され、最終盤になってそれがポーランドであることがわかります。P国がポーランドになるタイミングと、地動説が相対化されていく(完全な悪ではない)タイミングはほ…

見るたびに生々しくなる〜『侍タイムスリッパー』

この作品を絶賛する人々に共通するのが、「見るたびに良くなる作品」というもので、確かに僕もそう思った。僕はAmazonで4回見たが、だんだん同作を「許せる」ようになった。 実は初見では、そのタイムスリップと低予算作品の紋切り型に我慢できず、前半は禁…

「夜空の美しさ」を説明したい欲望の言葉こそが地動説〜『チ。』

『チ。』全25話をようやく見終えた。思ったより暴力と拷問シーンの多いアニメだったと同時に、予想以上に哲学的セリフの多いアニメだった。 残酷なシーンの多さから子どもには薦めにくいと同時に、人間が何かをなすとは、「想い/思い」をつないでいくことだ…

その不安定な苦悩のグルーヴに寄り添うこと

ストーンローセズ中最狂曲である「フールズゴールド」は10分バージョンが最強なのだが、これと少し前のニューオーダーから世界的クラブ文化が花開いたのだとしても、結局ローゼズは初期YMOや初期ニューオーダーと同じく、機械を真似ようとしてもズレてしまう…

イーストウッドの目〜日常への愛とconservative

リベラル/社会主義寄りのグローバリゼーションと、ナショナリズムの結果現れるブロック経済化のせめぎ合い。 いま日本は何周も遅れてグローバリゼーションに呑み込まれつつあるが、世界的にはナショナリズムの流れになっている。 軍事同盟の関係上、日本が…

サードプレイスがある人生

サードプレイスで働くあるいはサードプレイスをつくることを追求すると、おもしろいことに、いつのまにか「セカンドプレイス論(サードプレイスをどうつくるかという仕事論)」になってしまいます。 自由な居場所(サードプレイス)を探しているはずなのに、…

居場所とは、「記憶」でもある〜『葬送のフリーレン』

アニメ1期も全部見たが、マンガ『葬送のフリーレン』も13巻(最新)まで読了。よく知られた設定だが、1巻冒頭で勇者ヒンメル一行は魔王を倒しており、そのヒンメルもその後老いて亡くなる。物語は、ヒンメルが亡くなった後30年たって本格的に始まる。 この間…

円錐には無数の断面がある〜論文「心的外傷と反復」より

※田中俊英の臨床哲学修士論文「心的外傷と反復」より、Ⅱ-2「過去と精神的反復」を、改行と「ですます」調中心にリライトしました。文中「DR」 は『差異と反復』財津理訳/河出書房新社の略です。論文全文は↓ 心的外傷と反復〜1、2章|一般社団法人officeドー…

肯定と言語化、情熱と率直さ〜2つの「トラウマインフォームドケア」フォーラム

◾️権利擁護/生きていること自体に対する肯定 今日11/26(2024)の住吉区フォーラム「子どもとトラウマインフォームドケア(TIC)」は大成功でした。満員となった会場からは、辻田梨紗さん(ドーナツトークスタッフ/精神保健福祉士)の一言ひとことに集中す…

水と雨粒〜「ゆらぎ」の力の、直感と偶然

◾️「ゆらぎ」の力 ジャンプカットやモンタージュカット、通常ドラマ撮影の代表格であるショット・リバース ショット(話す人物が交互に映し出される)などをこうして並べてみると、現代の映画撮影技術がいかに紋切り化しているかがよくわかる。 動画編集で役立…