「立ちんぼ」という現象をより根源的に考えると、それはスピヴァクのいう「主体効果subject-effects」と「エリートサバルタン」につながり、同時にサバルタンという「語れない当事者」という問題が背景に浮かび上がると思います。
主体効果は、
①語ることができるエリート(ex.一部の「立ちんぼ」)
を生み出し、同時に、
②語ることができないサバルタン(ex.はじめから語ることができない性労働者)
を潜在化させる。
この①②の両現象に対して、それぞれ「代弁者」が現れます。この代弁者の抱く主体的目的から、反対側の現象を隠蔽していく。
ここまではどちらかというと哲学的議論と差異です。
ところが、元々は理念的存在であった代弁者がさらにパワーアップし、「代弁の利益享受者」として現れるようにもなります。
利益享受者へと代弁者が成長してしまうと、①②の差異が捨象され、サバルタンは再び隠蔽され、「マイノリティ一般」へとまとめられてしまいます。
「紋切り型弱者」の誕生ですね。
この紋切り型弱者誕生の段階において現れるそれぞれの事例が、
①利益享受者=活動家(政治的活動家、弁護士、研究者、ジャーナリスト等)
②マイノリティ一般(紋切り型弱者)=ex.「差別される女」
だと僕には思えます。
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以下は、「主体効果の悪魔性」という、以前書いた哲学エッセイからの引用です♪
【主体効果subject-effectsとは、どれだけドゥルーズらが無意識的なものの効果(たとえば「器官なき身体」等でそれを表現)を述べたとしても、そこにはsubject的なものがくっついてしまうことを表します。
言い換えると、完全な自由や乱雑さはあり得ず、主体的コントロールに人や社会は常に毒されている。
それをスピヴァクはおそらくsubject-effectsと言っていて、このことが、逆に「潜在的他者」であるサバルタンを生み出してしまう。
この強力な主体効果こそが、我々にサバルタン(真の当事者)の存在を忘れさせるんですね。
そして同時に、
「エリートサバルタン」(p43)
が強力に注目されます。強い主体効果がサバルタンを隠し、エリートサバルタンのみを浮かび上がらせる。
このエリートサバルタンこそが、僕が20年来挙げてきた「元当事者」であり「経験者」という訳です】
主体効果subject-effectsの悪魔性 - tanakatosihide’s blog