tanakatosihide’s blog

一般社団法人officeドーナツトーク代表、田中俊英のブログです。8年間Yahoo!ニュース個人で連載したものから「サルベージ」した記事も含まれます😀

subject は「代表者」に幽霊のように取り憑き、同時に「サバルタン」を潜在化させる

スピヴァクは『サバルタンは語ることができるかCan the Subaltern Speak?』執筆後、大著『ポストコロニアル理性批判』を上梓し、同書3章「歴史」に「サバルタン〜」をブラッシュアップして掲載した。

 

僕が探した範囲では、元々の『サバルタン〜』原書を見つけることができず、スピヴァク自身の英文で「サバルタン」を読もうとすると、『ポストコロニアル〜』中「歴史」を参照するしかない。

 

僕は英文は結局スラスラ読めないまま死にそうだが、哲学論文理解で重要なのは一語一語の訳とその説明だと思う。案外、翻訳家がその人の好みで専門用語を訳している場合があり、具体例は忘れたが20年前の修士論文執筆時にはそれで僕はずいぶん手間取った(修論執筆時にこれら原書はゲットしました😀)。

 

スピヴァクの有名なルプレザンタシオン représentation(表象/代表・代弁)の訳の解釈はまず押さえることは必要だろう。

 

その上で、『サバルタン』読解上欠かせないのが、サバルタンの隠蔽化の行程で見られる、「代表者(ex.ルイボナパルト)の出現とサバルタンの潜在化」というメカニズムを暴くことの重要性だ。

 

そしてそのメカニズムを支える重要な概念として、「主体subject 」があり、主体効果subject-effects があるのでは? とスピヴァクは仄めかせる。

 

subject はわかりやすい代表者が好きなのでそこに幽霊のように取り憑き、同時に真の当事者/サバルタンを潜在化させるんですね。

 

だからあらためて、僕は『サバルタンは語ることができるか』1章を読み直そうと思い、その原書が手に入らないのであれば、そのブラッシュアップ版「歴史」をチェックしてみようと思った次第✌️

 

写真は、『ポストコロニアル〜』当該部分の訳と原文。

 

subject-effects の訳部分

 

当該箇所原文