tanakatosihide’s blog

一般社団法人officeドーナツトーク代表、田中俊英のブログです。8年間Yahoo!ニュース個人で連載したものから「サルベージ」した記事も含まれます😀

「ダブルバインドの孤独」が性欲と恋愛欲を凌駕する〜少子化の根源

■「モテ/非モテ」の問題ではなく、「結婚にはメリットがない」ということ

 

少子化の根源は、結婚済み夫婦が「子どもを産むか」ではなく、子どもを産むための前提である「結婚するか/できるか」ということだ。

 

ここまで非カップルの確率が高いとそれは「モテ/非モテ」の問題ではなく、「結婚にはメリットがない」ということに尽きる。


結婚のデメリット化の背景には、

 

①「結婚規範」の崩壊、
②恋愛コミュニケーションの煩雑さ、
③お手軽なネット友だちコミュニケーション(SNS とゲーム)、
④お手軽な自慰手段のネット利用化、

 

等があるが、僕が毎日若者たちを支援していて感じることは、

 

《若者の孤独は「既存の恋愛コミュニケーション」では解決できない》

ということに尽きる。

 

■他者への気づかい以上に、「わたし/僕を見て知って助けて」

 

恋愛を通したコミュニケーションの基底には、「他者への気づかい」が求められるが、若者(あるいは現代人)の孤独は、他者への気づかい以上に「わたし/僕を見て知って助けて」という欲望がある。

 

現代の若者は基底に、この、

 

A.「自分に対する深刻な『承認と受容』の欲望」

がまずある。

 

そして、Aとは矛盾する水準に、

B.「他者の孤独もわかるために自分の欲望は遠慮する」

という自制も同時に走っている。この、

 

「自分を受容してほしい」と、


「他者の孤独もわかるので、自分は我慢するしかない」

 

という矛盾する2つのラインが、同時に1人の若者(ジェンダーは関係ない)に走り共存する。

 

この、圧倒的な「ダブルバインドの孤独」が、ヒトとしての性欲と人間としての恋愛欲を完全に凌駕している。

 

ここには、「快感の肯定」や「他者との溶け合い」のような哲学の最前線の議論を受け入れる余裕はない。ドゥルーズはもちろん、デリダフロイトも、ニーチェさえ完全スルーしてしまうほどの、完全なダブルバインド孤独なのだ。