tanakatosihide’s blog

一般社団法人officeドーナツトーク代表、田中俊英のブログです。8年間Yahoo!ニュース個人で連載したものから「サルベージ」した記事も含まれます😀

山たづの、迎へを行かむ、待つには待たじ〜万葉と五七の魔術④

【原文: 君之行 氣長久成奴 山多豆乃 迎乎将徃 待尓者不待

作者: 衣通王(そとほしのおほきみ)

よみ: 君が行き、日(け)長くなりぬ、山たづの、迎へを行かむ、待つには待たじ

 

意味:あなたがいらっしゃってから、ずいぶんと日が過ぎてしまいました。山たづのように、あなたを迎えに行きましょう、待ってなんかいられないわ】

 

 ※

 

万葉集第2巻(全部で20巻ある)は、相聞と挽歌で構成されており、死者を悼む後者の一つ(柿本人麻呂の挽歌)を先日シェアした。

 

日常のコミュニケーション(主として恋愛)をテーマにする相聞に長歌形式はあまり見られず、ここに引用した短歌形式(この歌自体の背景は壮絶)が多い。

 

高校時代は僕はこの万葉仮名の意味がイマイチわからなかったが、要するにシニフィアン(言葉の音)の当て字なんですね。

 

この歌の末尾は普通の漢文のような気もするが、日本語シニフィアン歌を万葉仮名として表記する過程で、その「うた」が強化されていき、万葉仮名が通常のひらがなとして後に表記されることでその「五七調」が完成されたのだろうか。

 

そのあたりの専門書も探してみようかな。

 

我々が日本語でロックする時にも、その日本語ロックそのものの前提にこの強力な五七調がある。はっぴぃえんどは日本語ロックを構築したのではなく、どう足掻いても日本語ではロックできないと諦めた記録があの3枚なのだと思います。

 

「さよならアメリカ」は、「さよならロック」に僕には聞こえ、だから松本隆はバリバリ五七調の歌謡曲(現代の万葉相聞歌)に回帰したような😿

 

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