tanakatosihide’s blog

一般社団法人officeドーナツトーク代表、田中俊英のブログです。8年間Yahoo!ニュース個人で連載したものから「サルベージ」した記事も含まれます😀

子育て世帯では、妻/母が暴力の加害者

 

■30代夫婦は、妻のほうがDVする

 

少し古い、連合のDVに関する調査(2017年ハラスメントと暴力に関する実態調査 よりhttps://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20171116.pdf?v1120)によると、30代夫婦の場合、妻のほうが夫よりも暴力を多く振るっている。

 

20代夫婦の場合は同割合でDV加害者だから、大部分の「子育て世帯」では、夫も妻も暴力を振るい、特に子育て世帯の中心である30代においては、妻のほうが加害者である。同調査p11では以下のように記述する。

 

(略)男性でも4人に1人の割合となり、配偶者から暴力を受けている男性は少なくないようです。特に、 30代男性では38.1%と4割近くとなりました。

 

同じページにある図も以下に貼り付けてみよう(精細な画像は同サイトでご覧ください)。

 

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■男女平等な暴力

 

一方で、40代から上のDVでは、これまで通り女性の被害が目立つ。特に50代では、女性はやられ放題、男がやり放題だ。

 

つまり日本では、40才あたりを境目に、夫婦間の暴力の様相が異なってくる。

 

40才前半はいわゆる団塊ジュニア世代であり、学齢期は日本の最後の経済繁栄期を体験し、成人後は「格差社会化」の中心世代となった。勝ち組と負け組の差が激しく、「負け組」の中心がいわゆる「ひきこもり」の方々であり、僕はそうした人々を何百人も支援してきた。

 

一方でこの世代は「社会起業の時代」の第一世代でもあり、僕はたくさんの企業する若者たち(現在40代前半)を見てきた。そこには女性も何割か含まれる。彼ら彼女らは「勝ち組」に入れてもいいだろう。

 

負け組も勝ち組も、それぞれ「ジェンダー」に関してさまざまな思いを抱くものの(たとえば、ひきこもり男性が一般女性に抱くルサンチマン)、平等/不平等の視点からそれらの価値を見てみると、一部で著しく差別され暴力の被害に遭う女性も一定存在するとはいえ、40代半ばより上の世代の男性全般が示す「家事スキルのなさ」「あからさまな暴力性」はそれほどでもないと思う。

 

40代より上の男性に比べて家事もできるし暴力も振るわない男性が多い。もちろん、夫婦喧嘩的ドメスティックな局面では暴力も出るのだろうが、それは連合調査にあるように、「男女平等」で出現する。

 

男も女も、同じような割合で時にニコニコし、時に殴る。40代より上に見られるよに、加害側と被害側の立場の固定がそれほどでもない。

 

■古い体験からしか現状を想像できない古いフェミニストたちによって、現状が隠蔽

 

また児童虐待においても、これはよく知られたことであるが、「実母」が最大の加害者である。これはいくらでも調査結果はあるが、下には読みやすいものを。

 

sumamon.jp

 

児童虐待において、最大の加害者は「実母」である。児童への虐待なので、ここで暴力が発生する舞台は、「子育て中の家庭」ということになる。

 

つまり、DVにおいても児童虐待においても、子育て世帯においては、

 

妻/母

 

のほうが殴っているということになる(心理的・ネグレクト・経済的「暴力」含む)。

 

だが従来の、

 

①「女性が暴力の被害者」という構図のイメージが強いこと、

 

②殴られる男というイメージは多数の男性にとってネガティブなもの、

 

等から、「殴る妻/母、殴られる夫/父」というイメージがなかなか定着しない。

 

旧来のフェミニズムが訴えてきた「大多数の殴られる女/妻/母」という実像とイメージは40代以上のものであり、30代以下の子育て世代ではだいぶ実像とイメージが異なってきた。

 

だが、旧来フェミニストの中心は40代以上(そのコアは50代以上だと想像する)であり、その上の世代の「暴力の実態」は従来の「男加害、女被害」のため、それぞれの古い体験からしか現状を想像できない古いフェミニストたちによって、現状が隠蔽されている。