tanakatosihide’s blog

一般社団法人officeドーナツトーク代表、田中俊英のブログです。8年間Yahoo!ニュース個人で連載したものから「サルベージ」した記事も含まれます😀

「陰謀論」が社会運動の根拠化する

ナロードニキ」や、「ネチャーエフ事件」(ニヒリスト集団が生み出したドストエフスキー『悪霊』の題材)等、19世紀後半のロシアのインテリゲンチャを突き動かしていたのも、現代では陰謀論と言われる、革命思想を生み出した世界観だった。

 

近代以降の「思想」の背景には、現代で言われる陰謀論的世界観+虚無主義+破壊主義が共有化されることが前提にある。陰謀論は嘆くものではなく、近代思想が前提とするものが陰謀論的世界価値だと僕は思う。

 

19世紀末や20世紀前半と異なる現代のポイントは、そうした「前提としての陰謀論」を根拠にするのが、従来「権力」と言われた保守層トップ(トランプ氏ほか)だということだ。ここに保守層が乗り、DS/ネオコン議論が展開される。

 

陰謀論の主役である左派層は、19世紀陰謀論を実践した「インターナショナル」の21世紀型となっている。

 

この21世紀型インターナショナルと、国際共産主義運動/第3インターナショナル(コミンテルン)などが異なるのは、21世紀型インターナショナルがなぜか「ネオコン」的新自由主義と親和性があるということ。

 

 ※

 

まあこう書くと、僕も現代風陰謀論者になる。モダン+ポストモダン(的幻想)社会は、このような、陰謀論というよりは革命思想も付随する世界的規模の「悪の根拠付け」を伴う。

 

そうした「(空想か現実かが曖昧な)悪」を背景とし、たとえばドゥルーズガタリの『アンチオイディプス』やネグリとハートの『帝国』が書かれベストセラーとなった。そこで提唱された「欲望する機械」「マルチチュード」等の概念が社会運動の根拠と現実になっている。

 

欲望する機械とそれに立ち向かうマルチチュード陰謀論ではなく、重要なポストモダン概念だ。

 

つまり近現代においては、「陰謀論」が社会運動の根拠化していく(欲望する機械)。それが幻想であれ現実であれ、現状否定の装置として悪の世界組織が必要とされ、そこから革命思想(マルチチュード)が生まれる。

 

これを陰謀論として否定することは、ある種のポリコレでもあり、人間を清潔で潔癖な存在として位置付けたい一種の宗教思想であるとも僕は感じる。

 

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